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CHK放送劇団
お芝居好きや演技力アップを狙う、熱い仲間の集まるCHK放送劇団のこれまでの公演をご紹介します。

銀河鉄道の夜

今年の夏は宇宙の話題でにぎやかでした。火星から飛んできたと思われる隕石から微生物の化石らしい物が見つかったという発表がされたすぐ後で、今度は木星の衛星エウロパに「液体の水」が存在した証拠があると、米航空宇宙局(NASA)が発表しました。その少し前のある日、宇宙と星について詳しい二人の俳優、うすい君と長久保君に話をしてもらって盛りあがっていた稽古場は、地球以外の太陽系に生命が存在する(した)可能性を知らせるこのニュースに沸き立ちました。
30人の素粒子たちと、ぼくは今度はじめて演劇的な冒険に乗り出しました。宮沢賢治は一度書き上げた童話にてを入れつづけました。それで、賢治の作品は完成されたものではなく、未定稿でありつづけました。それが賢治の創作行為なのでした。ぼくらは、稽古してだんだん上手になっていって、その結果をお客さんに見てもらうというような芝居をするのではなく、その日その時にしか起こらない何かを作り出して、いつも新しい経験をすることができる稽古場にしていこうとしています。予測できないもの、未知のものに踏み込んでいくのは不安なものです。その不安は冒険へのバネです。
「いまの世界にないものは、働くことの喜びと、民衆によって民衆のためにつくられた芸術だ。」これは宮沢賢治の言葉ではありません。本当の生きる喜びをつくりだす芸術運動をしつづけた、ウィリアム・モリスという19世紀イギリスの詩人・工芸家の言葉です。賢治はモリスを深いところで受け止めて、畑仕事をしながら、芸術運動をしました。
「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」「芸術をもてあの灰色の労働を燃やせ」と賢治はノートに記しています。北村相は独特の視点で、『銀河鉄道の夜』を戯曲にしました。宇宙船が太陽系を飛んでいる時代に、宮沢賢治の精神がどんな姿で現れてくるのか?
30人の内在しているヴァイタリティとエネルギーは開放されるだろうか? わくわくしながら、その瞬間が現れるのを楽しみにしています。(木内稔)

スタッフ
演出:木内 稔/舞台美術:浜本 義行/音楽:羽野 誠司/照明:薄井 澄夫/音響:西田 実/舞台監督:中杉 雄一
キャスト
赤池 智行、石川 大介、宇佐美 智子、音成 美雪、木村 歌音、熊岡 千鶴、小見 山花、澤登 唯志、高木 香、高村 てい子、中川 和恵、長久保 義房、上別府 仁資、宮塚 秀巳、米倉 香織、秋山 淳一、今井 健児、うすい たかやす、小俣 智子、工藤 哲二、小林 美穂、佐々木 誠、篠原 武、高橋 広樹、田中 美帆、中路 美也子、成沢 郁美、三浦 美穂、山崎 雅也、渡辺 敏行
銀河鉄道の夜
銀河鉄道の夜