ホームの中のCHK放送劇団

CHK放送劇団
お芝居好きや演技力アップを狙う、熱い仲間の集まるCHK放送劇団のこれまでの公演をご紹介します。

OUR TOWN

「今度の講演は『わが町』なんだ」と知り合いの女優に話したら、「あら、今年はワイルダーばやりね」という言葉が返ってきましたが、たしかに、『わが町』だけでなくあちこちでワイルダーの芝居が企画上演されており、ぼくもいくつか見にいきました。今取り上げられるのには理由があるのだと思います。
ワイルダーは日本の能や中国の演劇に刺激を受けて、演劇的世界を作り出そうと試みた劇作家で、『わが町』は1938年に初演され、その年のピュリッツア賞を受賞しました。今ではアメリカ現代演劇の古典といった扱いを受けており、演劇の勉強をした者ならは、どこかで一度はお目にかかったことがあるだろうというくらい、広く知られた戯曲です。
ワイルダーは世界の演劇に大きな影響を与えましたが、しかし、それは手法や形式といった面のみで議論されてきた傾きがありました。たしかに、この芝居は斬新な手法に満ちています。今ではそれらは目新しいことではないけれども、これからの演劇にとってあらためて大きな示唆を与えてくれています。亡命先のアメリカで、1944年に『わが町』の上演を見たドイツの劇作家ブレヒトは、「進歩的な舞台だ」という感想を日記に記していますが、そしてそれは手法についての評価だという解釈がされていますが、しかし、いまこの芝居に取り組んでみると、スタイルや手法だけではない、この芝居が内包している大切なことに気づかせられます。
ぼくらは今度、これまで数えきれないほど上映された部隊でおそらくやったことがないだろうと思われる試みを、やろうとしています。ワイルダーの台本の言葉はほとんどそのままです。稽古場は今おもちゃ箱をひっくり返したような騒がしさです。この芝居が今生きているぼくらの時代や状況や世界を逆に照らし出すことができるが、その瞬間をどきどきしながら待っています。(木内稔)

スタッフ
演出:木内 稔/舞台美術:浜本 義行/音楽:羽野 誠司/照明:薄井 澄夫/効果:西田 実
キャスト
中川 和恵、中路 美也子、うすい たかやす、赤地 智行、秋山 淳一、石川 大介、小俣 智子、熊岡 千鶴、小林 美穂、佐々木 誠、澤登 唯志、篠原 武、高木 香、高橋 広樹、田中 美帆、長久保 義房、成沢 郁美、上別府 仁資、三浦 美穂、宮塚 秀巳、山崎 雅也、米倉 香織、渡辺 敏行
OUR TOWN
OUR TOWN